呉春特吟の首掛け札に『呉春は池田の酒のこと。呉は池田の古い雅稱「呉服(くれは)の里」に由来し池田のこと。春は唐代の通語にて酒のこと。依って呉春は池田の酒。』と記されていますが、銘酒・呉春の名が松村呉春から由来していることはあまり知られていません。司馬遼太郎の「天明の絵師」の主人公である松村月溪(1752年〜1811年)が、愛妻を亡くした傷心で池田の町に移住してきたのが天明元年(1781年)のこと。翌年の春に近くの本養寺を訪れて、何やら思案中に池田の古称=呉服(クレハ)の里で春を迎えたことに感銘し、名を中国風に松村呉春と改名しました。後に京都・四条に戻った松村呉春は四条派画家の祖として晩成しました。また、呉春は創業が江戸中期の元禄年間(元禄14年(1701年)頃)と云われていますが、呉春の名が使われるようになったのは、天明以降の弘化4年(1847年)頃からと云われています。