[ 特集 ]辛口酒
普段何気なく耳にする「辛口のお酒下さい」という言葉。皆さんも一度は口にしたこともあるかもしれません。
しかしこの「辛口」というジャンルは奥が深く、「辛口」の中にも実は色々な種類があります。そして、それを正しく理解すれば、より一層お酒を楽しむことができるかもしれません。
色々な辛口を探って、お好みの辛口酒を見つけてみましょう。
辛口酒が好まれる理由
辛口のお酒は、長い間好まれているジャンルですが、これは戦後の日本で飲まれていた「三増酒」の影響が大きくあります。
戦後、物資が不足していた日本では、出来上がったお酒にアルコールと糖類などを入れて味を薄く伸ばしていました。
アルコール等追加されて出来上がったお酒は、元の三倍の量であることから「三増酒」と呼ばれました。
「三増酒」は一杯目、二杯目は美味しいのですが、飲み進めていくと、その糖の甘さから口の中にベタつきが残る味わいでした。
その後、甘い酒は品質が良くないというイメージが残り、辛口のお酒に人気が集まったのです。
本醸造酒・吟醸酒と純米酒の違い
本醸造酒や吟醸酒はアルコールを添加して造られ、純米酒は米と水だけで造られます。
こうして書くと、本醸造酒や吟醸酒は上述の「三増酒」とどう違うの?という声が聞こえてきそうですが、本醸造酒や吟醸酒で添加されるアルコールは微量なもので、かつその
目的はカサ増しではなく、香り付けやスッキリとしたキレを持たせるという意味合いです。
アルコールを添加した本醸造酒系の辛口は、キレが抜群で、香りもフルーティーな物が多くあります。
舌先にピリリと来るような、鋭角なキレと言ってもいいかもしれません。
対して純米酒系の辛口酒では、米の旨みを感じられることが多いです。
アルコール添加と聞くとあまり聞こえは良くないかもしれませんが、高級酒のイメージの強い「大吟醸酒」などもアルコール添加のお酒と考えると、イメージは変わるかもしれません。
実際に、純米系、本醸造・吟醸系、を飲み比べてみるのも非常に面白いと思います。
辛口酒の表現
一重に辛口と言っても「芳醇」な辛口か、「淡麗」な辛口か、など色々な表現の仕方があります。
日本酒における辛さとは「糖分」の少ない、を意味します。
これは「日本酒度」という数値で表され、数字が大きくなるほど糖分の少ないお酒となり、
おおよそですが日本酒度+4から+6くらいが中辛口と言ったイメージとなります。
さらに日本酒度に加え、「酸度」というものがあり、この酸の数値が大きければ、同じ日本酒度のお酒でもキレのあるお酒となります。
しかし、全く同じ数値を持つお酒でもフルーティに感じたり、辛く感じたり、日本酒は奥が深いお酒です。
辛口を嗜む
では具体的にどういう辛口酒を、どんな風に芳醇辛口や淡麗辛口と呼ぶのでしょうか。
左記の表のように、それはある程度酒度と酸度で理解することができます。
日本酒度が高くなればなるほど、淡麗な辛口となりやすく、酸度はその日本酒度に対しての高さによって芳醇な辛口となります。
しかし、吟醸酒特有の鋭いキレ、辛口度数は高いが濃厚な米の旨みを感じる辛口酒。
日本酒には数値で測る以上の奥深さがあります。
それを踏まえた上で、色々なタイプの辛口酒を、意識しながら嗜み、それを記憶に宿していくといつの日かスッと繋がることがあります。
実は奥の深い辛口酒、是非ご自身の感覚で、お好きな「辛口」を見つけて下さい。