燗酒の歴史
燗酒の風習は日本、そして中国では古くから行われていたそうです。
平安時代の延喜式には鍋のようなもので酒を温めていたことが分かる一文が見られます。
平安貴族の間では広く燗酒が親しまれていたようです。
時は移ろい、庶民の間で燗酒が一般的になるのは江戸時代の中期以降。
これには「燗徳利」の登場や、高名な儒学者である貝原益軒が「酒は年中ぬる燗がいい」といったことが書かれた書物が、多くの人に読まれたことが一因として考えられます。
このように、日本では「酒」と「燗」は切っても切れない関係であることが分かります。
燗酒の味わい
日本酒は燗につけることで香りが増し、また甘みが強くなります。
(日本酒の原料である米も温かいうちに食すと甘みが立ち、柔らかな香りが漂いますね。)
湯気と共に広がる穏やかでたおやかな香り、日本酒の持つコクや旨み、さらに酸味や苦みが抑えられ、まろやかさを増します。
燗映え(燗に向く)する酒は、旨味、酸味が強い、どっしりとしたボディを持つ酒とされています。
具体的には「生もと系」、「純米酒」、「本醸造酒」などがこれに当たります。
反対に、大吟醸酒や、フレッシュな味わいの生酒などは常温や冷酒の方が良いとされています。
お燗の温度・やり方
「燗が向く」といっても、そのお酒毎に燗映えする温度は違います。
また、個々人による好みも大きな要因です。
50℃前後の”熱燗”にすると、辛みが高くなり、味のバランスが崩れてしまうことがあります。
燗に向くお酒では、40-45℃の「ぬる燗」や「上燗」がバランスが良く、オススメです。
では実際にどのような方法で燗につければいいのでしょうか。
・湯煎で
最も一般的な方法は「湯煎(ゆせん)」です。
お酒を徳利の八分目・九分目ほどまで入れ、徳利の半分が浸かるくらいの水の量で、沸騰した鍋に徳利を入れます。
目安は2-3分ほど。この時、温度が急激に上がり、熱くなりすぎるのを避けるため、沸騰後は火を止めた方が無難です。
取り出した徳利の底に触れ、少し熱さを感じる程度が45℃の上燗くらいの温度です。
・電子レンジで
「お酒」モードがあるレンジならそれを選び、なければ低いワット数でゆっくり温めるのがおすすめ。
目安は500Wで35-40秒ほどです。
レンジで温める際に入れるお酒の量は7-8分目までにしておき、吹きこぼれを防ぎます。
また、均一に温められないことがあるので、半分の時間ほどで徳利を取り出し、少し回してからまたレンジに入れると均一に温まります。
燗酒がもたらす健康・美肌効果
燗酒にするメリットは、味わいの変化だけではありません。
健康面や美容面でもメリットとなる部分があります。
アルコールは体温に近い温度の方が吸収が早くなります。
そのために、冷酒でありがちな飲みすぎを防ぎ、二日酔いや胃痛を防ぐことが出来ます。
また日本酒に含まれる成分には美肌効果をもたらす成分があります。
これも温めることによって、体内への吸収を助けるためにより大きな効果が期待出来ます。
シミを抑え、シワに効き、肌にハリが出るなどの効果です。
色々な部分で美味しい日本酒の燗酒。
一度体験されてみてはいかがでしょうか。